分裂するアメリカ 2015 10 10

 オバマ大統領は、
リベラルとされる民主党の中でも、
最も左寄りと言われています。
 これは、日本人にとっては、わかりにくいかもしれません。
日本では、リベラルという言葉は、あまり使わないからです。
 「リベラルの中でも最も左寄り」とは、
日本の分類では、社会主義者や社会党に分類されるでしょう。
(下記の「謝罪外交 2013 8 18」を参照)
 こうしたオバマ大統領の政治姿勢が、
アメリカ国内で、「茶会派」などの保守強硬派の台頭を招き、
それが、共和党の分裂も招いているかもしれません。
 これは、オバマ大統領の高等戦術かもしれません。
オバマ氏が左旋回すればするほど、
共和党の分裂を招くという結果になるかもしれません。
 一方、有力な大統領候補であるヒラリー・クリントン前国務長官は、
最近では、労働組合寄りの発言が目立ちます。
 日本と違って、アメリカでは、
労働組合は巨大な組織であり、なおかつ豊富な資金力を持ちます。
 大統領選挙においては、
こうした巨大な労働組合の支援が勝敗を左右すると言っても過言ではないでしょう。
 しかし、こうした巨大な労働組合の存在は、
保守的な人たちにとっては耐え難い存在なので、
これが保守強硬派の台頭を招く原因にもなっています。
 もちろん、アメリカ国内の社会情勢の変化も、
政治に大きな影響を与えています。
最近では、中流階級や中間層が減少して、貧富の格差が拡大しています。
 2011年には、「ウォール街を占拠せよ」という大規模な政治運動が起こりました。
この運動では「我々は残りの99%だ」という主張が記憶に残りました。
つまり、アメリカでは、上位1%の富裕層が所有する資産が激増していることに対する不満です。
まさか、アメリカで、このような「階級闘争」が起こるとは、想像できませんでした。
それほど貧富の格差が拡大しているということでしょう。
 そう言えば、オバマ氏が中央政界に進出する前に、
演説で「ひとつのアメリカ」を訴えていたような気がします。
「民主党のアメリカでもなく、共和党のアメリカでもなく、
アメリカは団結すべきだ」という趣旨の演説だったと思います。
あれは「幻」だったのか。

謝罪外交 2013 8 18

書名 いつまでもアメリカが守ってくれると思うなよ
著者 古森 義久  幻冬舎新書

「謝罪外交を繰り返すオバマ政権」
 これは、この本では、43ページから始まる、
「オバマの謝罪外交」というところを読めば、
そう思いたくなるでしょう。
 確かに、ここに掲載された一連の演説を読めば、
共和党が、オバマ氏の演説を、
「謝罪外交」とか「謝罪の旅」(外国訪問)と非難する理由があります。
 著者によれば、オバマ氏は、
アメリカの従来の「あり方」には、
むしろ批判をぶつけることが多いという。
 アメリカの超大国としての実績でさえも、
あえてミスや欠陥を指摘して、
事実上の謝罪をするという傾向がちらつくのだと指摘します。
 これは、よく言えば、「謙虚である」と言えるでしょうが、
悪く言えば、「自虐的」と言えるでしょう。
 謝罪外交といえば、日本政府の「お家芸」でしたが、
時には、オバマ氏の方が、それを上回り、
日本人としては、びっくりでしょう。
 もしかすると、日本人は怒るかもしれません。
「日本の『お家芸』をオバマ氏に奪われてしまった」と。
これを「生きがい」している日本の政治家もいるからです。
 もう少し、この本から引用しましょう。
「軍事力を忌避し、軍事力の効用を認めたがらないオバマ大統領」
 オバマ大統領は、そもそも軍事力が嫌いだ。
アメリカの国政レベルでは、そんな認識がよく語られる。
これは、保守派だけからの評価ではない。
与党の民主党側にも浸透した認識だと言える。
(引用、以上)
 多くの日本人は、
「なんだか、オバマ氏という政治家がわからなくなった」と思ったでしょう。
 オバマ氏は、リベラルと言われる民主党の中でも、
「最も左寄り」と言われることがあります。
 つまり、日本の政治家でたとえれば、
社会党の党首がアメリカ大統領をやっているようなものです。
 そう言えば、今は、社会党という政党はありませんから、
オバマ氏は、社民党の党首に近いと言えば、よくわかるでしょう。
 だから、オバマ大統領と安倍首相は、馬が合わないと言えます。
安倍首相は、保守政党と言われる自民党の中でも、右派と言われています。
 片方の政治姿勢が社民党の党首に近く、もう片方が保守政党の右派では、
首脳会談は、どうやっても、うまく行くはずがありません。
 それにしても、アメリカが、このような状態では、
独裁者や強権政府の指導者は、
当分、「枕を高くして眠れる」と言えるでしょう。
 多くの独裁者や強権政府の指導者は、今でも、
「アメリカの影に怯えて、夜も眠れない」という状態かもしれませんが、
それは、「かつてのアメリカ」に怯えているからでしょう。
しかし、「今のアメリカ」を知れば、独裁者たちは、熟睡できます。
 要するに、独裁者たちは、勉強不足です。
自国の独裁体制を維持にするのに忙しくて、
国際情勢を勉強していないということでしょう。













































































トップページへ戻る